安念寺・滋賀県長浜市「破損仏がズラリ!“いも観音”の心温まるエピソード」
黒田観音寺を参拝した後は、安念寺を訪ねました。
普段あまり人通りがないからでしょうか?安念寺に向かって歩いている途中で「お参りの方?」と、安念寺の世話方らしき年配の女性に声をかけられました。「もっと年配の方かと思ってたら若い人だったのねぇ…」なんて、これはどこに行っても言われるフレーズです(笑)
安念寺の山門(?)は、鍵のついたフェンスでした。味気ない門でしたが、その境を越えると空気が一気に冷たくなったのを覚えています。
息を切らしながら石段を登る世話方さんの姿を見て、有り難さと申し訳なさでいっぱいになりました。
お堂に到着すると
『あっ!鍵が違う…!』
『ええええ!』
(どうしようどうしようどうしよう…)
『すみません、ありました…』
(なんだ…よかった(汗))
どうやら、お堂の鍵穴に違う鍵をさしてしまったようです(笑)
お堂を開けていただくと、そこには破損仏がズラリ!ちょっと不気味にさえ感じるこの光景。。。
仏さまの表情はなく、見るからに苦労を背負って来たであろうお姿です。
通称「いも観音」破損仏が並ぶお堂は圧巻!
安念寺の仏さまは(菩薩、如来系立像など)、織田信長の兵火から逃れるために長い間田んぼの中に埋められていたため、この様な朽ちたお姿になっています。その後、村人が余呉川で洗ったという事から通称「いも観音」と呼ばれています。
なんと、世話方さんのお爺さまは観音さまを川で洗った事があるというのはリアルなお話。夏は村の子供たちがお堂から持ち出して仏さまと共に川遊びをしていたそうです。
なんというエピソード!!
それは、仏さまが子供と遊んでくださっていたんだと思います!私が子供の頃、実家の仏壇でよく遊んでいたのですが、それをうちの母が叱ろうとした事に対して、ご先祖さまが遊んでくれているのだから叱っちゃいけない、ご先祖さまに感謝しなさい…と、祖母が言ったという話を思い出しましました。
最近は、県外からも観音さまを拝みに来る人が増えたせいか、観音さまのお顔がだんだんハッキリしてきたのよ!と言っていました。とても嬉しそうなお顔をしていると。。。
その事をニコニコしながらお話をする世話方さんを見ていると、この地域の方々と仏さまの深い関係が伺われます。気が付けば、初対面で感じた破損仏の不気味さなど吹っ飛んでいました。とても心温まるお参りとなりました。
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《安念寺アクセス》
住所:滋賀県長浜市木之本町黒田2027
アクセス:JR木ノ本駅より徒歩にて20分、北陸自動車道木之本ICより5分
拝観料:300円(要予約)
問い合わせ:奥びわ湖観光協会 0749-82-5909