福光園寺・山梨県笛吹市「慶派仏師“蓮慶”作のたくましい吉祥天坐像と二天像」
山梨県笛吸市にある福光園寺(ふっこうおんじ)
JR中央本線の石和温泉駅からタクシーで20分くらいの、小高い山の中腹にある真言宗智山派のお寺です。
富士山を横目で眺めつつ、坂道を練り上がりやっと到着したのですが、、、
お寺に誰もいなーい!!
前もって拝観のお約束をしていなかったので仕方がないのですが(汗)
どうやら、この日は町内の運動会をしているようで、近くの運動場から懐かしい音楽が聞こえて来ました。たまたま通りがかった女性に声をかけたら、ご親切にお寺の方を呼んで来てくださったのです。
まずは、宝物殿へご案内していただきました。
さて、ようやく仏さまとご対面です!ドキドキ!
中央には大きな吉祥天さまがどっしりと構え、脇には多聞天さまと持国天さまがいらっしゃいました。坐像の吉祥天さまの両脇侍として二天(持国天・多聞天)を配したとてもめずらしい三尊像です。
“蓮慶”作の吉祥天坐像 及び二天像
鎌倉時代の慶派仏師である蓮慶の作で、力強さが伝わる三尊像です。蓮慶は、甲州市大善寺の十二神将像の作者でもあります。
堂々とした逞しい吉祥天
■吉祥天坐像
国指定重要文化財 / 像高108、8㎝ / 鎌倉時代(1231年)
吉祥天さまは男性的で力強く、逞しい肩幅が重厚な印象を与えます。吉祥天女というよりは、梵天や帝釈天のような、勇敢で強そうなイメージでした。
または、肝っ玉母さんのような頼りがいのある吉祥天さまです!
しかも、坐像の吉祥天さまにお会いするのは初めてかも知れません!?
吉祥天の夫である多聞天(毘沙門天)
脇にいらっしゃる多聞天さまと持国天さまを見てみると・・・多聞天さまはゴールドの素敵な目をしていました。入り口から差し込む光を反射して、瞳がキラキラと輝いて見えました。
そして、ヘアスタイルを見てみると・・・鎌倉時代の大日如来さまや菩薩さまのように、高く結い上げた高貴なヘアスタイルをされていました。カッコイイですね!
■二天像
国指定重要文化財 / 持国天像:像高116、8㎝、多聞天像:像高 118、7㎝ / 鎌倉時代(1231年)
最後に、お隣の観音堂へ案内していただきました。
観音堂には香王観音(こうおうかんのん)さまが安置されています。
藤原時代から伝わる香王観音立像
■香王観音立像
山梨県指定文化財 / 像高139、4cm、 / 平安時代
藤原時代の香王観音(聖観音像)で、行基作と伝わる一木造り。
損傷が激しく手足を損失したお姿です。台座と光背は後から造られたものです。
福光園寺は1574年までは大野寺というお寺でしたが、こちらの香王観音さまは大野寺創立当初の本尊と考えられています。
見る人の心が優しいとお顔も優しく見えるらしいのですが、私には厳しく見えてしまいました、、、なぜ!?
福光園寺にいらっしゃる仏さまは、見ごたえのある素晴らしい仏さまばかりでした!お会いできて良かったです!
なにより、運動会の最中にもかかわらず私たちを温かく迎えていただき、ご丁寧に説明してくだってありがとうございました!
《福光園寺アクセス》
住所:山梨県笛吹市御坂町大野寺 2019-2
TEL:055-263-4395
拝観料:志納
アクセス:JR中央線石和温泉郷駅から車で20分/町営バス大野入口バス停から徒歩5分
※拝観には問い合わせが必要です。