極楽寺・神奈川県鎌倉市「清凉寺式釈迦如来さまと極楽寺に伝わる諸仏を参拝しました!」

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2010年4月
仏像リンクの仏像ブラ参り

午前は光明寺の山門楼上を特別拝観し、午後は江ノ電に乗って極楽寺へ向かいました!

極楽寺は、毎年4月7日〜9日のみご本尊の清凉寺式釈迦如来さまがご開帳されます。

午前中に参拝した光明寺の記事はこちらです★

極楽寺は1259年に忍性によって開かれた真言律宗のお寺です。忍性は鎌倉時代の律僧で、真言律宗を開いた叡尊のお弟子さん。日本ではじめて病舎をつくり、病人や社会的弱者の救済に尽力した人物です。

2016年には生誕800年を記念して、奈良国立博物館で「忍性展」が開催され、金沢文庫では極楽寺のご本尊・釈迦如来立像が公開されました。

忍性展

お釈迦さまのバースデーシーズンであるこの3日間は、宝物館にいらっしゃるご本尊さまのご開帳だけでなく、普段は入ることができない本堂の中もお参りできるんです。

普段は静かなお寺ですが、年に一度のこの時期は大勢の参拝者で賑わいます。茅葺き屋根の山門から本堂まで続く桜並木の参道が、ピンクに色づいていて活気のある光景でした。

極楽寺(神奈川)

極楽寺(神奈川)

先ずは宝物館から拝観!

中央に、ご本尊の清凉寺式釈迦如来さまがいらっしゃいます。その左右には十大弟子が5体ずつ並び、さらに向って一番右には釈迦如来坐像さま。一番左には不動明王さまがいらっしゃいます。

キリっとした若々しい清凉寺式釈迦如来立像

■清凉寺式釈迦如来像
国指定重要文化財 / 像高157、8cm / 鎌倉時代(1297年)

清凉寺釈迦如来像は、縄を巻きつけたようなヘアスタイルと首まで覆う衣の着こなしが特徴的です。

通常の如来像は肉付きが良くでっぷりとしていますが、極楽寺のご本尊さまは輪郭がシャープでキリッとした目鼻立ちをしておられます。

清凉寺式釈迦如来さまは、お釈迦さまが37歳の時のお姿をモデルにして造られたものと言われていますが、こちらの清涼寺式釈迦如来さまはそれよりも若々しいお姿に見えませんか!?(笑)

そして、注目すべきはもう1人の釈迦如来さまです。

転法輪印のイケメン釈迦如来坐像

極楽寺(神奈川)(鎌倉仏像めぐり より)

■釈迦如来坐像
国指定重要文化財 / 像高90cm / 鎌倉時代

こちらの釈迦如来さまが結ぶ印は“転法輪印“ ”という大変珍しい印相で、この印を結ぶ釈迦如来像は全国で2体しかないそうです。(もう1体は岐阜県・願興寺)

端正なお顔立ちで、鎌倉地方にいらっしゃる他の仏さまとはちょっとテイストが違うな〜と思ったら、鎌倉時代に奈良を中心に活躍した善派仏師の作なんですね!

西大寺の愛染明王などを造った善慶の作とされていましたが、最近では作風や制作年代から息子・善春の作という説が有力のようです。(善春は、西大寺(奈良)・叡尊像、元興寺(奈良)・聖徳太子像を造ったことがわかっています)

極楽寺の宝物館その名も“転法輪殿”

中央の仏師が彫った仏さまですから、極楽寺では重要なポジションの仏さまだったのかも知れません。

そして、お釈迦さまのお弟子さん1250人から選抜された十大弟子像。

1mにも満たないお像ですが、一体一体じっくり見てみると写実的なタッチで造られていることに気がつきます。

写実的で表情豊かな十大弟子像

s_IMG_4664.jpeg(鎌倉仏像めぐり より)

端っこにいらっしゃる不動明王さまは、極楽寺創建より古い時代に造られました。もとは神仏分離で廃寺になった島根県・勝達寺のご本尊さまだったそうです。

遥々、島根県からやってきた平安期の不動明王

極楽寺(神奈川)(鎌倉国宝館 仏像のキホン!より)

■不動明王坐像
国指定重要文化財 / 像高91、5cm / 平安時代後期

平安後期のやや穏やかな不動明王さまで、はっきりと鳥の姿が刻まれている迦楼羅炎の光背を背負っておられます。

最後に本堂を参拝。

中央にアニメ顔の不動明王さま(前回書いた記事にもそう書いてありました(笑))がいらっしゃって、両脇に薬師如来さまと文薩さま。そして、内陣に近づいてみると不動明王さまの脇には小さな矜羯羅童子と制咜迦童子もいらっしゃいました。

その中でも、本堂の係の人が「この仏さんイケメンでしょ〜!」と言っていたのは文殊菩薩さま。

髪の毛を5つに束ねた五髻文殊

極楽寺(神奈川)(忍性菩薩展 図録 より)

■文殊菩薩坐像
鎌倉市指定文化財 / 像高55、6cm / 鎌倉時代

そして、奥には叡尊&忍性!

叡尊像は頼もしいおじいちゃん、忍性像は優しいおじいちゃんといった雰囲気で、空襲や震災などの苦難を乗り越えてきた極楽寺と地域の人々をずーっと見守っているかのようなお姿でした。

《極楽寺アクセス》

住所:神奈川県鎌倉市極楽寺3-6-7
TEL:0467-22-3402
宝物館(転法輪殿)
4/25~5/25と10/25~11/25の火・木・土・日曜のみ開館(拝観料:300円)
※2019年6月より2年をかけて十大弟子立像の修復事業を行うため、宝物館(転法輪殿)は長期にわたり拝観中止となります。

毎年4月7.8.9日に清涼寺式釈迦如来像ご開帳(拝観料:500円)詳細は鎌倉市HPに記載されています。

stoic-butsuzo

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