興福院・神奈川県足柄下郡箱根町 「端正な普賢菩薩さまと難を逃れ興福院に集まった仏像たち」

LINEで送る
Pocket

2011年3月5日
元箱根周辺をのんびりと散策しました。

小田原駅からバスに揺られる事1時間。元箱根のバス停で降り、まずは芦ノ湖を眺めながら箱根神社まで歩きます。

箱根神社の摂社である「九頭龍神社」は、恋愛成就のご利益があると有名らしく女性の参拝者で賑わっていました。恋に効くという名水や御守りなども売っています。

芦ノ湖に建つ大きな鳥居は迫力満点!恐る恐る先端まで足を運びましたが、芦ノ湖に飲まれてしまいそうで腰が引けてしまいました(笑)

s-IMG_2375.jpg

s-IMG_2946.jpg

箱根神社にいらっしゃる万巻上人にお会いしなかったのですが、13時に拝観のお約束をしていた興福院へ向かいました。

s-IMG_2948.jpg

興福院のご本尊は釈迦如来さま、文殊菩薩さま、普賢菩薩さまの釈迦三尊像です。小さめの像で、私の身長よりも高い所に祀られていました。

そして、さらに高い位置には達磨大師さまと大椿菩薩さまがおり、大きな閻魔さまがとても恐ろしい形相で坐っておられました。

s-IMG_2952.jpg

ご住職が「こんなに小さなお寺ですが沢山の仏像があるんですよ〜」と、さらに奥へと案内して下さいました。

ご案内していただいたのは大師堂です。

興福院は曹洞宗のお寺ですが、この町の人々はお大師さまを深く信仰しているのだとか。

お堂に入った瞬間、あまりの仏像の多さにビックリしてしまいました。よく見ると、小さな仏さまが所狭しと並んでいます。まさか、こんなにいらっしゃるとは…!

大師堂では、この地では珍しいと言う“等身大の弘法大師さま”がご本尊として祀られていました。

その脇には地蔵菩薩さま(坐像)と阿弥陀如来さま(坐像)。さらにその脇には愛染明王さまと千手観音さまもいらっしゃいます。

難を逃れ興福院に集まった仏像たち

s-IMG_2959.jpg

この大師堂の中には、小さな銅造や懸仏なども含め…おそろく30体以上の仏像が祀られていると思われます。古くは平安時代から現代の平成まで様々です。

明治の神仏分離の前までは、現在の箱根神社が箱根権現として崇められていたそうで、その脇社である”能善権現や金剛王院東福寺にいらっしゃった仏像が、難を逃れ興福院へやって来たそうです。
s-IMG_2956.jpg s-IMG_2958.jpg

ガラスケースの中にとても端正な普賢菩薩さまが収められていました。大きさは正確には解りませんがおそらく1m弱くらいの坐像で、鎌倉時代の寄木造の像です。あまりの美しさにしゃがみ込んでじっと見つめてしまいました。

端正なお姿の普賢菩薩坐像

(鎌倉×密教 図録より)

■普賢菩薩坐像
神奈川県指定重要文化財 / 像高49cm / 鎌倉時代(1297年)

すると住職が「何?あなたは仏像を研究でもしてるのかい?」と(笑)

シュッとした鋭い目つきからか、とても芯のある静寂な強さを感じられる普賢菩薩さまでした。

s-IMG_2957.jpg

そしてお隣には菩薩さまのお顔の部分だけが安置されています。等身大の像のお顔の部分だけが残っている状態で、この地方では珍しい平安時代のものだそうです。残念ながら何の菩薩さまなのかは解りませんが、ふっくらした輪郭と伏し目がちな目つきは京都などでよく見かけるような美しい菩薩さまであったに違いありません。

最後に…

「このお大師さまは箱根町の人々にとても崇められているんです。」と、おっしゃるご住職。

今でも毎月お大師さまの縁日には、町の人々が集まり法要が行われているそうです。

私が拝観している間でも檀家の方が何人か訪れていた様子だったので、ずっと昔から地域と密着したお寺なんだなぁ…と改めて感じました。

お忙しい中、ご案内していただいてありがとうございました!

※こちらは、2011年3月に更新された記事です(^人^)

《興福院アクセス》

住所:〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根26
TEL:0460-83-6612
拝観料:志納
アクセス:元箱根港より箱根登山バス(元箱根港・箱根町行き)で「元箱根」下車、小田原・箱根湯本駅より箱根登山バス(元箱根港・箱根町行き)で「元箱根」下車

※拝観には問い合わせが必要です。

stoic-butsuzo

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする