慶覚院・神奈川県中郡「像高約150cmの大きな地蔵菩薩さまと謎多き仏像群」
2019年10月の仏像ブラ参りは神奈川県中郡大磯町の古仏を巡りました!
当初の予定では、午前の部で王福寺を参拝する予定でしたが、当日はあいにくの雨…。雨では収蔵庫を開けられないということで、午前の部は中止となってしまいました(涙)今思えば10月は台風が来たりで雨が頻繁に降っていましたね…王福寺はまたいつかリベンジしたいです…!
(王福寺の薬師如来坐像さま ポストカードより)
そんなわけで、今回は午後の部のみ、慶覚院と善福寺を参拝しました。
大磯町は神奈川県の中央南部に位置する湘南地方です。平安時代に相模の国府が置かれ、源頼朝が鎌倉幕府を開くと、幕府と距離的に近いため大いに栄えたそうです。そんな時代背景もあってか、大磯町には歴史ある寺社があり、古い仏像や神像が残されています。
大磯駅から歩くこと20分。最初に訪問したのは慶覚院です。実は、慶覚院も善福寺も数年前に訪問した事がありました。その時は大磯町〜足柄あたりを巡ったのですが、神奈川県で鎌倉以外にも古い仏さまがいらっしゃる事を知って驚いた記憶があります。
慶覚院のすぐお隣には高来(たかく)神社があります。明治の神仏分離前、高来神社が高麗寺だった時に祀られていた仏像が慶覚院に安置されています。
(高来神社神殿)
ちょっと脱線しますが…
その高来神社の古建築悉皆調査で、鎌倉時代にまで遡る“神像群”が見つかったとか!!男神、女神、僧形の立像がなんと11体…!
過去に大磯町郷土資料館の企画展「大磯町の文化財」で公開されたことがあったようですが、次はいつお目にかかれるでしょうか・・・
- その時の様子が有隣堂のwebページに掲載されています –
慶覚院の本堂の中には、高麗寺旧観音堂のご本尊である千手観音さまと旧地蔵堂のご本尊である地蔵菩薩さまがいらっしゃいます。その他、お檀家さん方が隠して守り抜いた複数の仏さまがそれぞれお厨子に入って並んでいました。
その中でも一際オーラを放っていたのは、右端に鎮座した大きな地蔵菩薩さまです!
(大磯町ホームページより)
ご住職がお代替わりされ、現在は堂内の撮影が一切禁止となっています。
■地蔵菩薩坐像神奈川県指定重要文化財 / 像高約150cm / 鎌倉時代後期の作(1278年)
像高約150の坐像で片足を踏み下げて坐っておられます。お顔の内側に、建治四年(1278)の墨書銘のある鎌倉時代後期の仏さまです。
前回は外陣からの拝観でしたが、今回は大きなお地蔵さまをすぐ目の前で拝観させていただいて大興奮!目がキリッとしていて、若々しく引き締まった印象のお地蔵さまでした。
そして、お地蔵さまの脇にいらっしゃるのは矜羯羅童子と制咜迦童子。このお二人は不動明王さまに支える脇侍として祀られているのはよく見かけますが、お地蔵さまの脇侍になっているお姿ははじめてです。もしかしたら、元は不動明王さまがいらっしゃったのかも知れせん!?
須弥壇の中央に趣のあるお厨子があり、その中には秘仏の千手観音さまがいらっしゃいます。その昔、釣りをしていた漁師が海から浮かび上がって来た千手観音さまを見つけたそうです。長い間海に沈んでいたため、現在のお姿は傷みが進んでいるんだとか。千手観音さまは12年に1度子年にご開帳されます。それがちょうど来年の2020年。ご開帳は春に予定しているとのことです!
お厨子の前にはお前立の千手観音さまがおり、なんと脇侍には日光菩薩さまの月光菩薩さまのお姿が…こちらも元は薬師如来さまがいらっしゃったのでしょうか!?
その他、白山権現像や毘沙門天、半跏の薬師如来さま…など、謎多き仏像群を堪能させていただきました!
ご住職がご開帳のお知らせをくださるとのことですので、それを楽しみに春まで待とうと思います♪
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《慶覚院アクセス》
住所:神奈川県大磯町高麗 2-9-48
TEL:0463-61-3814
拝観料:志納
アクセス:JR大磯駅より徒歩25分 またはバス「化粧坂」下車 平塚方面へ徒歩5分
※拝観には問い合わせが必要です。