天養院・神奈川県三浦市「負傷した和田義盛公の身代わりとなった平安の薬師如来さま」
2011年3月
昨年の夏から三浦半島のお寺が気になっていて、久里浜の清雲寺・満願寺や、逗子の東昌寺・浄楽寺などめぐりました。
今回はもっと奥へ足を伸ばして、三崎口にある天養院を参拝しました。
神奈川県の文化財に指定されている、穏やかな薬師三尊さまにお会いして来ましたよ!
天養院は京浜急行の終点である三崎口駅からバスで5分ほど。バス停からは歩いて4、5分です。向かう途中に畑があったり、のんびりとした住宅街の中に佇むお寺です。
到着すると入口に山門がなく、代わりに石仏がお出迎えしてくださいました。
境内は三浦氏の家紋がついた本堂があるだけで、敷地内はすべて墓地なっています。
天養院は浄土宗のお寺です。
本堂の中央には金色に輝く阿弥陀三尊さまが祀られていました。
お堂の中をよく観ると…天井の四隅には四天王のお姿が…!しかも、奈良・東大寺戒壇院のあの四天王にそっくりなんです!
そして、内陣両脇には円窓があり、善道大師と法然上人がいらっいました。
お目当ての薬師三尊さまは、お堂の右奥におられます。
ご住職がガラス戸を開け、中の電気を付けてくださいました。「どうぞごゆっくり…終わったら呼んでください」と。
薬師如来さまと2人っきりの空間で、よーくよーく拝観させていただきました。
和田義盛公の身代わりとなった薬師如来坐像と日光・月光菩薩像
■薬師如来坐像及び両脇侍立像(薬師三尊像)
神奈川県指定重要文化財 / 像高:中尊74.5cm、脇侍約110cm / 平安時代
翻波式の衣文と引き締まった身体から、平安初期の像であるとされています。
和田合戦の際に負傷した和田義盛公の身代わりとなって顔から胸に傷を負い、血まで流したというエピソードがあるそうです。この顔からお腹にかけての割れは、その時の傷跡にも見えます。
痛々しい傷跡を残しながらもニッコリと微笑む偉大な薬師さまです。
両脇には、日光菩薩さまと月光菩薩さまがいらっしゃいます。両菩薩さまもニッコリと微笑んでおられました。
スレンダーな日光菩薩像と月光菩薩像
そして、磨りガラスの天袋には十二神将さまらしき小さな仏像が並んでいました。
ハッキリとお姿が見えないのですが、十王さまのような帽子をかぶるお像が気になります。
あともうひとつ!
個人的に…薬師さまの蓮華座が気に入ってしまいました。
とても素朴なのですが、しなった花びらの様な柔らかい表現にグッときました。今は光背がないので、どんなデザインの光背が似合うかな?なんて考えてみたり…(笑)
三浦半島はまだまだ奥深いような気がします。もっと色々なお寺を巡って仏像に会いに行きたいです。
お忙しい中、素敵な仏さまを拝観させていただきありがとうございました。
・・
《天養院アクセス》
住所:神奈川県三浦市初声町和田1669
TEL:046-888-3013
拝観料:志納
アクセス:京浜急行三崎口駅から「横須賀」「長井」方面京急バスで「和田」下車8分
※拝観は問い合わせが必要です。
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薬師様の台座はたしかにとても印象的で独創的な蓮弁ですね。初めて見る形です。きっとハイセンスな仏師の方の手によるものなのでしょうね。
敷なすも、敷なすというよりは、スカーフリングのような・・・
これからも、ステキな仏像たちに会えるのを楽しみにしています。
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y.UNOさん
y.UNOさんの様な仏師の方から見ても珍しい台座なのですね。よく見られる、蓮花が何重にも重なり合った華やかなものではなくシンプルな台座なのですが、蓮花の柔らかい表現が気に入ってしまいました♪
5月15日 卯年三浦地蔵尊霊場4日目
2017年5月12日 三浦半島薬師如来霊場
第14番五劫山天養院=神奈川県三浦市初声町和田1669