鉈彫仏・霊木から仏の姿が出現する過程を妄想してみた!
私が“鉈彫仏”の存在を知ったのは、2006年に東京国立博物館で開催された「仏像展一木に込められた祈り」展でした。
何これ、作りかけなの?
仏像じゃないみたい!と、当時はそっぽを向いてしまった私ですが、今ではすっかり鉈彫仏のファンになってしまいました。
この展覧会は是非もう一度開催して欲しい!
東博さんお願いします~!!
全国各地の一木仏が一堂に会し、大トリを務めたのは、仏像ファン憧れの的、滋賀・渡岸寺の十一面観音さまと、京都・願徳寺の伝如意輪観音さまでした。
(仏像展 一木に込められた祈り 図録より)
(仏像展 一木に込められた祈り 図録より)
そして、あの頃は全て同じに見えてしまった円空仏と木喰仏…今思えばとても勿体無い見方をしてしまいました。
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鉈彫仏の話に戻ります。
鉈彫仏ゾーンで、特に印象的だったのは、弘明寺の十一面観音さまです。だって、弘明寺に仏像がある事を初めて知ったんですもの!!
(仏像展 一木に込められた祈り 図録より)
というのは、私の地元は弘明寺付近にあり(山一つ越えた隣町)子供の頃から弘明寺商店街は母と夕食の買い物に行っていた場所にも関わらず、お寺に行ったのは1度くらいしかありませんでした。しかも夜…
なので……
え?
これは、あの弘明寺?
と、驚いたわけです。
そのほか、顔の中に顔がある宝誌和尚は強烈なインパクト!
そのクリエイティブなルックスに圧倒されました。
(仏像展 一木に込められた祈り 図録より)
鉈彫ってなんでしょう?
実際には鉈で彫った後を残したものではなく、ノミの彫り跡を粗く残したものです。私が最初にそっぽを向いてしまった、作りかけ?という見方もありましたが、あえてノミの跡を残して縞模様にしているのであろうとも言われています。
これは、神仏の魂が宿る霊木の姿カタチが変化して仏が出現する瞬間を表しているのではないか!?と、言う事で、私は鉈彫仏に出会うたび、そのシーンを妄想してしまうのです。
↓
霊木から仏が出現の巻!
■第一段階
霊木が柔らかい光でほわーんと光る。(深い森の中で光っているイメージ)
■第二段階
やがて光が強くなり…大地がゴゴゴゴゴ…と揺れだす。そして風が吹く。
■第三段階
霊木が小刻みにガタガタ…と震えだし、さざ波のように小さくうねりだす。
ぶるぶる…ぶるぶる…
■第四段階
波打ちながら、次第に仏のシルエットが浮かび上がる。
■第五段階
手、足、化仏や頭頂部…と、シルエットの外側からじわじわと鮮明になって来る。
■第六段階
外側から体の中心部にかけてぶるぶると震えながら、徐々に姿が鮮明になり…
■第七段階
ついに仏の顔が……!!
ゴゴゴゴゴ……!
でたー!
これは仏やー!!
仏が現れたー!!!
ザザザザザザザザー!!!!(仏像展 一木に込められた祈り 図録より)
と、この時点を表したのが鉈彫仏に違いない!
横縞模様なので、横にブルブルと波打ちながら現れるイメージです。
注:これは私の勝手な想像ですm(__)m
こんな想像をしてお姿を拝観していると、それはとても神秘的で霊験あらたかな像であるがために人々の信仰はあつく、現在まで大切にされてきたんだな…と、感じるのです。
鉈彫仏、いいですねぇ~。